いつともなくどこへともなく

2001年から続けている、生と死と言葉とのかかわりについて考えたことの備忘録です。

書評

『ゴッドスター』  古川 日出男 著

古川 日出男作品の「通読初体験」だったのだが、入口を間違えたらしい。久々に叩き甲斐のある作品に出逢えたという、不健全なトキメキを感じた。単純に、地の文で「高速で」とか書きながら高速の描写で「突っ走っていく」というのは、いくらなんでも古くさい…

『KKKベストセラー』 中原 昌也

ISBN:4022501782 『名もなき孤児たちの墓』はある意味、中原作品に慣れ親しんでいる読者にとっては"ふつうの小説っぽさ"も備えていて、野間文芸賞受賞も順当wと思われるかもしれない。しかし『KKKベストセラーズ』に至っては、全編愚痴ばかり、そもそも元に…

『半島を出よ』  村上龍 著

ISBN:434400759X、ISBN:4344007603 いまさらというネタですが。身も蓋もない話だが、『半島を出よ』は読みごたえのあるすばらしい作品だった。……バカみたいな感想ですね。ただ、村上龍、というか現代日本文学そのものの熱心な読者とはとても言えないわたしに…

ブログがジャーナリズムを変える 湯川鶴章 著

ISBN:4757101945中身や著者である鶴川氏については紹介の必要はないかもしれない。 ひとことで言うと、なかなかいい本だった。 正しい読み方ではないかもしれないが、本書を読んで「この著者は間違いなく善人だ」と思った。 善人という表現では言葉足らずだ…

『グリンゴ』手塚治虫

※今回は『グリンゴ』(手塚治虫)のネタバレを含みますので、ご注意ください。最近、ずいぶん前から構想を持っていて、実際に小説として50枚ほど書いて放り出していた作品に、もう一度取り掛かかろうと思い、資料を読み始めている。舞台としては東京、北関東…

『となり町戦争』三崎亜記

前回の更新からあまりにも時間が経ってしまったので、自分的にフェイドアウトしてしまわないために、なにか書きます・・・(我ながらひどい理由)。えっと・・・なぜかベストセラーの話題。 角田&阿部の直木賞&芥川賞コンビなどに混じって、三崎亜記という…

『7月24日通り』吉田修一著

あけましておめでとうございます。 また今年も、ぽつりぽつりと書いていければと思います。正月の間にしたことは、飯を食う、寝る、トイレに行く、自動車に乗る、人に挨拶をする、息子たちにご飯をあげる、息子たちのおむつを替える、長男とアンパンマンのブ…

『極西文学論―Westway to the world』仲俣暁生 著

ISBN:4794966458考えてみると「文学評論」というジャンルの本自体をしばらく読んでいなかったこともあって、仲俣暁生さんの労作『極西文学論―Westway to the world』に、かなり新鮮な印象を持った。例によって時間があまりないので、以下、思いつくまでに雑…