いつともなくどこへともなく

2001年から続けている、生と死と言葉とのかかわりについて考えたことの備忘録です。

「ポストモダン批評の抑圧」という呪文を三度口にすると……

google Adsenseamazonアフィリエイトに登録してみました。おそらくいかほどの収入にもならないだろうが、このようなブログの文章にどんな「広告」が表示されるのか、単純に興味本位で設定してみたのですが……いきなり文芸社の「あなたの原稿を、出版します」広告だったので、思わず自分でクリックしそうになりました……(苦笑)。少々見苦しい点はご寛恕ください。


さて、仲俣暁生さんの先日のブログ『ポストモダン批評の「抑圧」から自由になるために』は、短い文章だったが、読んでかなり赤面した。ごたぶんに漏れずニュー・アカ(って言っても若い人はわからないよね。浅田彰中沢新一ら「アカデミズムの刷新者たち」(苦笑)="ニュー・アカデミズム"の略です)のミーハーだった十代のときの、自分のことを言われたような気がしたからだ。

正直、あらためて「あれは……抑圧だったのか!」と驚くような気持ちもある。少なくとも当時は、それを抑圧とは感じていなかった(重症ですね)。それほどガキだったと言ってしまえばそれだけのことである。

ポストモダン批評の抑圧」と口にしてみよう・・・

うーむ・・・

ポストモダン批評の抑圧」

むむ・・・

ポストモダン批評の抑圧」

ぅ、ぅ、ぅ・・・ぅうわああああ! ○△■×・・・

・・・そう。これは人を狂わす、かなり危険な呪文なのである。

とはいえ、その「赤面」の裏側を少しだけ整理してみたい欲求にも駆られる。年代順に「ポストモダン批評の抑圧」を受けた過程を書き出してみよう(我ながら悪趣味な企画・・・)
●1982年ころ(筆者14歳) 友達に教えてもらった洋楽・インディーズの雑誌『フールズメイト』にハマる。ちなみにフールズメイトはいまもビジュアル系雑誌として健在のようだ(http://www.fools-mate.co.jp/pc/)。もともとフールズメイトは、ジャズ批評家の間章に影響を受けた編集長の北村昌士が、彼のアイドルだったキングクリムゾンを賞賛するためのような「プログレ雑誌」だったものが、次第に英国から始まった「インディーズ」ブームによってニューウェーブ系に傾き、さらにさらに北村自身がミュージシャンに転向しつつ「オルタナティブ」色を強め・・・ごめんなさい、その後は知りません^^;

フールズメイト話は、そうカンタンには終わりそうにない。というのもこの雑誌が、80年代という時代とリンクして、プログレ/パンク/ニューウェーブ/ノイズ/オルタナティブというような、広義のポップ音楽の周辺に広がる、サブカルチャーの世界に、深く深く傾倒していたからだ。

そういう文脈の中で、わたしはニュー・アカの洗礼を受けた。事実、北村昌士は繰り返しジル・ドゥルーズラカンデリダに言及しているし、音楽をめぐって浅田彰と対談したりしていた。また、ウィリアム・バロウズや、J・G・バラードについても、「ポストモダン的意匠」を凝らして、繰り返し取り上げられていた。

ふたたび「ポストモダン批評の抑圧」と口にしてみる。
・・・唸るしかない。

まことに唐突だが、80〜95年の、「出来事・文学・批評・(なぜか)パンク・オルタナティブ」年表を書きます。

80年…金属バット殺人事件、イラン・イラク戦争山口百恵引退、『日本近代文学の起源』(柄谷行人)、『道化の宇宙』(山口昌男)、『コインロッカー・ベイビーズ』(村上龍)、ジョイ・ディヴィジョンのVo.イアン・カーティス自殺、ポップ・グループ解散

81年…スペースシャトル初飛行、『なんとなくクリスタル』(やすおちゃん)、中心と周縁(中村雄二郎山口昌男大江健三郎)、『フラワーズ・オブ・ロマンス』(PIL)

82年…ホテルニュージャパンで火災、フォークランド紛争、『千年の愉楽』(中上健次)、『さようなら、ギャングたち』(高橋源一郎)、『羊をめぐる冒険』(村上春樹

83年…戸塚ヨットスクール田中角栄、地裁で有罪判決、『構造と力』(浅田彰)、『チベットモーツァルト』(中沢新一)、『監督 小津安二郎』(蓮實重彦)、『隠喩としての建築』(柄谷行人)、『地の果て至上の時』(中上健次)、『「雨の木」を聴く女たち』(大江健三郎)、『ブルーマンデー』(ニューオーダー)、バウハウス解散

84年…グリコ・森永事件、NTT民営化、ロス五輪

85年…日本初のエイズ患者が認定、プラザ合意、『物語批判序説』(蓮實重彦)、『ポスト・モダン原論』(磯崎新・・・"週刊本"の17冊目! ちなみに1は山口昌男『流行論』)、『世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド』(村上春樹

86年…チェルノブイリ事故、中野富士見中二年生いじめを苦に自殺「このままじゃ生きジゴク」、『アンチ・オイディプス――資本主義と分裂症』(G・ドゥルーズ、F・ガタリ)、『探究I』(柄谷行人

87年…1月、1ドル=150円/東証平均株価が2万円台を突破しバブル景気本格化、石原裕次郎死去、『愛と幻想のファシズム』(村上龍

88年…年初、1ドル=128円で円高のピーク、竹下首相「ふるさと創生」で全市町村に各1億円配布、リクルート事件、『キルプの軍団』(大江健三郎)、『凡庸な芸術家の肖像』(蓮實重彦

89年…天皇崩御天安門事件『小説から遠く離れて』蓮實重彦

90年…東西ドイツ統一、湾岸戦争

91年…2月から株価急落、ソビエト連邦崩壊、普賢岳火山爆発、柄谷行人浅田彰とともに『批評空間』創刊

92年…PKO参加、マーストリヒト条約調印(EU通貨統合の道筋決まる)

93年…EU発足、Jリーグ開幕

94年…松本サリン事件、『ねじまき鳥クロニクル』「第1部 泥棒かささぎ編」「第2部 予言する鳥編」

95年…M7.2阪神淡路大震災/オウム地下鉄サリン事件


はぁ、はぁ・・少し落ち着いてきた・・・^^;
なんか、ぜんぜんまともなことが書けませんね。
実は「ポストモダン批評」にもっとも近い場所で「ポストモダン批評」の傍らを通り過ぎた阿部和重山形浩生について・・・というか、「主体」とかそういうことをちゃんと書こうと、ほんとに思っていたのだけど。

続きは近いうちに。