いつともなくどこへともなく

2001年から続けている、生と死と言葉とのかかわりについて考えたことの備忘録です。

air,plane

世界の果ての向こう側から
戻って来た誰かさんとお散歩中
あ、と空に飛行機雲
木のようにそこに立ち止まり

身振り手振りとカタコト英語で
air,
plane
と指さした

* * *

世界の果ての向こう側では
空はどんな色してるのだろう
たたかいの炎で赤く染まったり
黒い涙が降ったりもするのだろうか

身振り手振りとカタコト英語で
air,
plane
と指さした

* * *

世界の果ての向こう側では
どんな子どもが暮らしてるだろう
おなかを出して大笑いしたり
冷たい夜に大泣きしたり

身振り手振りとカタコト英語で
air,
plane
と指さした

* * *

世界の果ての向こう側では
どんな心が芽生えてるだろう
花びらの上で足踏みする心
夏の海に沈んでいく心

身振り手振りとカタコト英語で
air,
plane
と指さした

* * *

世界の果ての向こう側から
戻って来た誰かさんと差し向かい
瞳の奥のざわめきの
優しさと恐ろしさを覗きながら

身振り手振りとカタコト英語で
air,
plane
と指さした

* * *

世界の果ての向こう側では
誰が何の話をしてるのだろう
飛行機が飛んで消えてく先には
誰もが消えていくその先には

身振り手振りとカタコト英語で
air,
plane
と指さした
air,
plane
と指さした