いつともなくどこへともなく

2001年から続けている、生と死と言葉とのかかわりについて考えたことの備忘録です。

戦争とアルチュール・R

03/02/03(月)晴れ
●"訳詩"に『永遠』(ランボーhttp://kakena.hp.infoseek.co.jp/cgi-bin/data/trad/1044224137.htmlを追加

久しぶりの更新です。

さて、いわゆる「イラク危機」だが、ロシアのインターファクスが「"Xデイ"は2月後半から3月初旬」と報じ、日本の夕刊紙などでもその手の見出しが躍った。
Russian source: US 'will attack Iraq next month'
Sarah Left, The Guardian, 22 january 2003
http://www.mwaw.org/article.php?sid=1924

人様に対して言論を垂れ流しているメディアの片隅で起居するものとして、管理人もなにかしなければ、というかなり凡庸な思いつきにいたる。まぁ、まだ遅すぎるというわけではないだろう。

思い立ったはいいが、それ以前に、「運動」の予備知識がなさ過ぎることに気づく。さっそくウェブで勉強だ。夜中に思い立ったときにすぐ勉強が始められるというのは、やはりインターネットのすごいところである。以前であれば、図書館に向かわなければならなかったわけだから。

まず、「戦争に反対するメディア従事者たち」=『Media Workers Against War』http://www.mwaw.org/という、そのまんまというサイトをチェック。例のSQLスラマーの影響か、長らくアクセスできなかったが、最近復活した。メジャーなメディアには載らないような反戦関連のニュースを世界中から集めるというものだ。あるいは1月18日、世界中で起こったデモで知られるようになったInternational ANSWER (Act Now to Stop War & End Racism!) http://www.internationalanswer.org/も、観ていると気合が入る。それよりなにより、日本語サイトでは、加藤哲郎氏の『IMAGINE』http://www.ff.iij4u.or.jp/~katote/imagine.htmlが網羅性に優れていて、ほんとうに手取り足取りという感じで教えてくれる。

チョムスキー曰く、「宣戦布告前にこれだけ真剣な反戦運動が行われるのは初めて」とのこと。なるほど、やはり人間はよほど身近な問題にならないと、本当の意味で体を動かさないということか。テレビやインターネットの影響で、「身近」というものが、「身辺」というよりは「ふだんよく見るテレビやサイトで取り上げられている問題」にかわりつつあるということなのだろう。現実と情報の区別は、だれがなんといおうとも、あいまいなものなのだ。

しかし、米国はすごい。ブッシュの強欲さもさることながら、この先走り方はすごい。テーマパーク的帝国主義というか、SF的なナンセンスさ、怪物性が、想像力を刺激する。これはグロテスクなことだろうか。

ブッシュ大統領の一般教書演説(State of the Union address)
http://www.cnn.com/2003/ALLPOLITICS/01/28/sotu.transcript.1/

一方、イスラエル国民の選択(シャロン支持)は、かなりの切迫感を反映しているのだろう。「殺せ、殺せ」と言っているのと変わらないと思う。

右派リクードが勝利 シャロン政権続投へ
http://www.mainichi.co.jp/eye/feature/article/chuto/200301/29-3.html

戦争とはほぼ無関係だが、アルチュール・ランボーのとても有名な詩(『永遠』)を訳してみたhttp://kakena.hp.infoseek.co.jp/cgi-bin/data/trad/1044224137.html。管理人の仏語能力の問題もあるが、細部にはなかなか解釈の分かれる箇所のある作品だと思った。

同じことを考えている人もいるようで、『堀口に挑戦』http://www.geocities.co.jp/Outdoors-Mountain/4036/round3.htmlや、『「永遠」の詩をめぐる翻訳』http://homepage3.nifty.com/kai323/Rimbaud2.htmなどは、参考になった。

実は、これを訳してみようと思って、敬愛する金子光晴の訳を参照したところ、少なからず「?」と思わされる部分があったのだった。それはどうやら複数の版のある原典の問題らしいが、詩だとはいえ、ランボーの用いる多数の省略にも、その要因があるのだと思う。なにしろ、隙間だらけの詩行で、世界全体を作ろうとした男なのだから、省略はむしろ、ランボー詩の不可欠な要素ですらある。また、それゆえに実に多くの「解釈。」を引き寄せてしまうのも、宿命といえるだろう。

■宿題
1.ランボーのいう、魂とは、なんのことなのか。世間並みの、ありふれた高揚から逃れて自由に飛び去る魂とは……?

2.ランボーは、世界を破壊せずに、すべてを作り変える力として、詩を夢想しただろうか?