いつともなくどこへともなく

2001年から続けている、生と死と言葉とのかかわりについて考えたことの備忘録です。

2004-07-07から1日間の記事一覧

テルアビブ、1998年 (1)

小埜陽介は辛い夢から目覚めた。薄まった朝陽が、カーテンを閉め忘れた南側の窓から、掛け布団の上に細く差し込んでいるのが見えた。時計の針は五時半を指していた。夢の中身はこうだ――妻、美薗の用意した粉末状の薬物を、陽介と、みんなから「おじいさん」…